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2020年6月18日 (木)

映画「愛を読むひと」

映画「愛を読むひと」

監督:ステーブン・ダルドリー

脚本:デビット・ヘヤー

原作:ベルンハルト・シュリンク

撮影:クリス・メンデス

製作:アンソニー・ミンゲラ   

   シドニー・ポラック

出演:ハンナ、ケイト・ウインスレット

   マイケル、レイフ・ファインズ

   マイケル(少年時代)ダフィット・クロス

2009年 独米合作 124分 製作費3200万ドル 

アカデミー最優秀主演女優賞:ケイト・ウインスレット

 

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広い世界はひと言:

日本の保守派の代表的な評論家で2019年に自殺された西部邁先生お勧めの映画です。

2009年の独米作品「愛を読むひと」をやっと見る事が出来ました。主人公の女の出自や何故こう

言う生き方をしてきたのかを一切説明していません。映画を見た人は、15歳の少年と35歳の女の

単なるラブストーリーと捉えてしまうと思います。本当にそうだろうか、と考えました。

調べて分ったことは、当時のドイツはナチス政権下で、アーリア民族至上主義政策をとっていた。

どういうことかというとアーリア民族以外は劣った人種であると言う事です。それに基づいて、ユダヤ人、

少数民族・ロマ族(ジプシーはロマ族の蔑称)の大量虐殺、米コロンビア大学の調べでは、ロマ族は95万人

の内最大で29万人(実際には50万人以上とも言われる)が死亡した。これはユダヤ人に次ぐ2番目に多い

犠牲者である。ドイツ国内の身体・精神障害者・知的障害者の断種手術などありとあらゆる事を行いました。

そして選挙権も奪いました。その中の政策のひとつが、これらの人々に対する文盲政策です。

文盲にしておけば支配するのに都合が良かったのです。このような酷いことをナチスがやれたのは、

国民の支持があったからです。ナチスは独裁政権ではありません。合法的に選挙で選ばれた政権で

あります。国民の差別意識を煽り、国民の連帯の分断に成功したからです。

ここからは、調査に基づいた私の仮説です。15歳のマイケルと35歳のハンナの出会いは偶然です。

ロマ族のハンナは男に対してお礼として身体を与えて生き延びてきたのだと思います。

マイケルにも普通のことをしたのです。マイケルはそれを愛されたと勘違いした。

マイケルがセックスの後にハンナに僕を愛してると聞くと、ハンナは首を横に振りますが、

その後縦に振ります。マイケルはハンナの気持ちは誤解していると思ったが、相手にサービスしてしまう

ロマの自分がいる。

西部先生は、映画の女ハンナは人種差別されて殺されたロマ族だったのではないのかと指摘されていた。

それでラブストーリーではないと思いました。ハンナは生きるために少年に自分の女の部分をお礼として、

返しただけなのだ。少年はそれを愛情として受け取った。女が文盲だったのは、

当時のナチス・ドイツが人種差別政策として文盲政策をとっていたのと符合する。

女が服役して55歳になった時に、少年とまた一緒に歩いて行くかに見えた。しかし、

女は首つり自殺をして死んでしまいます。何故、女は死んでしまったのかは、

西部先生が自分の出自・ロマ族が恥ずかしかったから死んだのだと思う、そうだと思います。

彼女は、ロマで有りながら、1人で55歳で死ぬまでに、どんなにおそろしく、

哀しみが麻痺してしまうほどの経験の中を、強制収容所の看守として生きてきたのか。

想像するだけでも悲惨を通りこして、感情が麻痺してしまいそうです。

ですから、彼女は少年に身体を与える事などは簡単なことなのです。今までもそうやって

しのいで生きてきた。ハンナが常にびくついているのは彼女の性格では無く、そうやって生きてきた

後ろめたさからだと思う。裁判の時にも同じ看守の中で彼女は孤立していた。

看守の中でも人種差別があったのかもしれない。いずれにしても、女としての身体を使って生きる

淫らなジプシーのロマが恥ずかしくて、嫌で死んだのだと思います。

(「ナチズムの犠牲者としてのスィンティ・ロマの位置づけ
―忘れられた犠牲者をめぐる考察―千葉美千子 北海道大学研究論文」を参照させていただきました。」)
https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/35539/1/1_p2-32chiba.pdf

 

※西部邁:保守派の代表的評論家(元東大教授)2019年に多摩川で入水自殺する。

西部氏は私とは思想的立場が全く違う方だと思っておりました。晩年の発言では、米国べったりの思想

の何処が保守と言えようか、安倍は保守ではない。保守に一番ちかいのは、共産党だと言ったそうです。

西部氏がYouTubeで映画「男はつらいよ」を批判していた時に私は的外れな意見だな、素直に映画を

楽しめば良いのにと思った。しかし、本人は本気で怒っていたのが分かり、私は「男はつらいよ」愛好派

ではありますが、西部氏に親近感を感じ、意外と近い所にいた人なのだなと感じました。

惜しい方を無くしたと思います。

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